一昨年、MassdropでTH-X00(マホガニー)を買った。
発表と同時に公開された複数の先行レビューの内容があまりも好意的だったので、そういうのは褒める方に偏りがちだとは承知していたものの、さすがに大きなハズレを引くことはないだろうと判断して買ってみた。
マホガニーの質感はよく、光沢も伴ってそれなりに高級感がある。ヘッドバンドは十分長く、側圧は強くないし、イヤーカップも顔に合わせて回転するので、装着感は良い。重量は350gとなっているが、軽めに感じるくらい。耳がデカいとパッドに合わないことがあると聞いていたが、大丈夫だった。
ケーブルは太めでやや扱いづらいが、ある程度品質は良いのだろうという安心感はある。少し気になるのはイヤーカップとの接続部付近で、ここだけなぜか少しケーブルがくびれたようになっていて、頼りない。断線とかするとしたらここだろうなーという雰囲気。
音は……かなり良かった。とにかく低域が魅力的。ズンズンくる深さと量があって、豊かに、ノリ良く、楽しく聞かせてくれつつ、飽和して潰れたりしない。中域・高域に特筆するほどの質や伸びはないが、さほど引っ込んでいる印象もない。これだけ低域が主張してくる中で、引っ込んでいないのはそれだけで偉いと思う(質も、特筆するほどではないと書いたけど、低価格帯のをまとめて一蹴できる程度には良い)。全体としては不思議と調和が取れているように感じられるのが、単なるbassheadなヘッドホンとは違うところ。
音場は、密閉型の割には広め。その代わり、遮音性はやや低めかも(部屋でしか使ってないのでちゃんと確かめていないけど)。
「楽しく音楽を聴かせる」という点においては、かなり成功しているように思う。モニターライクなヘッドホンの「ウオオー、俺は今、バリバリに高解像度なヘッドホンを使ってるぜ!」感も良いのだけれど、TH-X00はそういうのとうまく使い分けもできるし、録音の質もそれほど選ばないので、一本持っておくと重宝するのではないでしょうか。
ところで、DekoniというメーカーがTH-X00向けの交換用パッドをMassdropでたまに販売している。特にSheepskinパッドは装着感が大変良いらしく、発売直後は好評だったのだが、しばらくすると、「TH-X00のストロングポイントである低域が弱まってしまうのが不満で、結局元のパッドに戻した」との話が散見されるようになった。ので買わずに見送っております。(なんか純正パッドを分解して、attenuation ringとかってのを取り出して、Dekoniのパッドに移植するといい感じになるらしいけど)